研究概要 |
目的)ある種の癌細胞、癌細胞、体細胞等に薬剤耐性を導入した際見られることのある特定DNAの選択的部分的増幅の細胞遺伝学的、生化学的、分子生物学的解析を行うものである。 方法)癌細胞の培養系、動物移植系、薬剤耐性培養細胞系等を用い、染色体観察、DNAプロ-ブのinsituハイブリド法、クロマチン構造の解析、DNAの制限酵素切断、サウザンブロットへのプローブハイブリド形成を用いた。 結果)新しく樹立したヒト癌細胞培養系に銀による核小体形成部位の染色により特異な染色性を示し核小体形成部位の増幅を示唆する2例を見出した。薬剤耐性系では多数のDMsを有する系においてもDMsは染色体とは獨立して自由に行動するものではなく、動原体を有しなくとも染色体に密接に関連して娘細胞核に移行することを見出した(宇多小路)。【10^(-6)】Mメソトレキセート耐性細胞(【MTX^R】-CHL)ではDMsが平均90ヶ存在し、葉酸脱水素酵素DHFR遺伝子が130コピー存在するここと、この細胞の親株(感受性細胞、【MTX^S】-CHL)にも約10コピー存在すること、これらの増幅遺伝子は耐性株においても感受性株と同様のクロマチン構造を有していること、メチル化修飾の状態も両細胞株の間に大きな変化はないことが認められた(水野)。 神経芽細胞腫(NB)については、ヌードマウス移植株9例、培養株7例、これらを経ない直接の臨床例24例についてDNAのサウザンブロット・ハイブリド法によう解析、一部には染色体in situハイブリド法による解析を行い、移植系では8例に、培養系では5例に臨床例では7例にN-mycの増幅を認めた。染色体にHSR,DMsを認めない1例にもN-mycの増幅を認め、またHSR,DMsを有し、これらにN-mycの増幅が見られるのと同時にこれら以外の部位にも増幅したN-mycが存在している例も見出された(神田)。
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