リンパ系腫瘍細胞の正確な診断と有効な治療法の開発のためには、そのheterogeneityを詳細に分析することが重要であると考え、lireage specificでstrge specificな分析を行った。対象は70汚で、その内訳はT-lineage8、B-lineage43、AUL8、ANLL11と分類された。B-lineageのcommon ALL20例はH鎖のみに再構成のみられた12例と、L鎖まで組換えを起こした7例に細分類された。残りの1例はIg geneはgermlineでTβ geneの再構成がみられB-lineageではなくT-precursorと考えられた。T-linergeのALLとNHLでは例外なくTβ geneの再構成がみられたが、NHLの1例ではさらに【J_H】とK鎖の再構成がみられた。明らかなT-lineage細胞でL鎖の組換えを証明したのは世界で最初の例と思われ、リンパ球の分化成熟を考える上で貴重な症例と思われた。表面マーカーとFAB分類からAULと診断された7例でIgとTβ geneの再構成をみたところ、どちらもgermlineのものが3例、一方にのみ再構成のみられたものが1例、両方に再構成がみられたものが3例とDNAレベルではさらに3つのパターンに分類し得ることが明らかとなった。 一方、生理学的特徴から、すなわち低張刺激下でのvoluine regulationをみることにより(コールターカウンターを用いて)T-cell系、B-cell系細胞の区別が容易に可能であることが明らかとなった。上記の方法でT-cell系とした細胞は、低張刺激後15分以内にもとのvolumeにもどったがB-cell系の細胞ではvolume regulationがみられなかった。 以上の如く、多因子解析をすることにより細胞の起源、分化度、を明らかにすることが可能であり、今後多数例の検討をすることによりリンパ系腫瘍の新しい分類が可能となろう。TγやTα gave、RNAレベルの解析や染色体異常との関係を調べることにより、新しい分類と予後との相関性を検定することがこれからの重要課題と思われる。
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