1. 地震断層運動の特性:(1)地震直後に開始された海底地震観測の資料をも使用して、余震震源の精密な決定を試みた。余震域の形状・位置が明確になり、そのほとんどが20km以浅で発生しており、本震破壊が地殼内のみに起ったことが示めされた。(2)遠地における長周期地震波形から断層パラメタを推定するため、従来の解析方法の欠点を補う新手法(2次モーメント法)を開発した。 2. 海底地盤変動と津波初期波形:(1)おなじ【M_w】の地震であっても、日本海で生ずる津波の波高は太平洋でのものにくらべ2倍程度大きい。(2)検潮儀による津波々形を用いて断層運動を推定するインバージョン法を開発した。(3)6月21日の最大余震による津波の性質を調べた。 3. エッジボアの理論と実験:(1)一様勾配斜面上に水路軸と角をなす鉛直壁を設置し、ここで生ずるマッハ・ステムの実験を行った。(2)砕波段波でも、構造物周辺を除けば、数値計算で比較的良く再現できることがわかった。 4. 津波数値シミュレーション:(1)津波波形が数値分散で減衰しないためには、一波長内に空間格子数が20〜30存在する必要のあることを明確にした。(2)峰浜村で生じた15m近い最大うちあげ高の主因は、海底地形のレンズ効果であることが数値計算により明らかとなった。(3)分散効果を入れたシミュレーション・プログラムは開発中である。 5. 津波先端部形状の決定法:(1)斜面上の非定常砕波段波のモデルを作成し、解析解を得、実験値と比較的良い一致をみた。(2)ソリトン波列の実験を行い、第2、第3ソリトンへの先行ソリトン砕波の効果を見出した。(3)第1ソリトンが巻波砕波した後の内部流速場の数値計算を行った。 6. 津波先端部の破壊力:1/50の縮尺の実験を実施し、ソリトン分裂後の津波波力によってブロックが80m程度移動することを確かめた。
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