1. 研究目的 昨年度に引き続き、日本海とくに富山湾周辺で冬季の風が比較的弱いにもかかわらず大波高の波が打ち寄せ、船舶や海岸に被害をもたらす「寄り廻り波」の実態と原因を調べ、海難防止へ向けてその予知をすることを目的とする。 2. 研究方法・成果 (1) 現象の調査として昨年度アンケート調査を行ない、日本海沿岸の233事業所から回答をえたが、その整理をし冬春の低気圧と季節風による波では通常は最大風速時より数時間程度の遅れが多いが一日程度の遅れのものもある。また現地調査においては鳥取県では対岸の改修工事による反射波の被害も報告された。 (2) 富山湾の波については本年度は寄り廻り波の襲来はなく比較的穏やかであり大きな事故はなかった。航空機による観測も実施したが残念ながら寄り廻り波の特性の把握にまではいたらなかった。 (3) 気象現象と波の推算について検討した。昭和36年から昭和57年まで34回の寄り廻り波の気象状況を検討するとほぼ5つの低気圧経路になり、そのうち典型的なもの一例ずつ風場と波について推算を行なった。もっとも特徴的なものは北海道周辺で低気圧が停滞するときであり、それ以外でも日本海北部から中部で強風が連吹したときとなっている。波の推算についてはなお引き続いて諸種の条件を考え調査を続行している。 (4) 港内の船舶の運動を推算するために外洋の波スペクトルを与え、複雑な港内地形でも回折反射を計算し任意の点のスペクトルをえて港内の船の運動を計算しうるようにした。代表値としては動搖の有義振幅で与え、港内海難防止の指標とする。
|