環境問題の複雑・多様化に対応して、各地の地方自治体で、環境の総合的・計画的な管理を目的とした「環境管理計画」の策定が試みられつつある。このための方法論として体系づけることを目的として検討が進められている。 1.環境管理のための評価の手法を開発するため、昨年東京都及び北九州市を対象に実施した「都市環境の評価に関する住民意識の体系的分析」を山形市を対象に実施して本手法の確立を図り、さらにこれをもとに、東京及び北九州において環境総合評価指標の作成を試みた。これはできるだけ住民の感覚に近い指標の開発を意図したものである。まず、個別の環境質に対する住民意識について、これを説明する物的条件データとの回帰分析を行い、個別の環境質毎の評価指標を作成した。次いで、住民意識から個別指標間の重みづけを行い、指標の総合化を図った。そして東京及び北九州の全域を対象に地点毎に指標を具体的に試算した。 2.都市の夜景を評価する指標として「夜景の識別度」を設定し、新潟市の都心地域の夜景の識別度を評価することを試みた。 3.昨年報告した「両生類の分布による環境評価の手法」について、その基礎データを補完する調査を実施し、報告の正確さを強めた。 4.対象水域汚染状況を迅速簡便に調査するために「減圧蒸留法による高濃縮化」と「ミクロ抽出法による高濃縮化」との二方法を開発し実資料で好結果を得た。また基本的な調査方法として、金属錯化容量の測定をとり上げ、前年度にはテノイルフルオロアセトンによる測定法を報告したが、本年はさらにベンゾイルトリフルオロアセトンを用いる測定法を開発した。そして、本法を渡良瀬川水系と本年は山形市中の河川系にも適用して、環境評価における指標としての有用性を検討した。
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