ヒートアイランドとダストアイランドの立体構造の対応関係を明らかにするとともに、ヒートアイランドの夜間に発達、日中に衰弱という日変化に対応するダストアイランドの日変化などの実態を明らかにする目的で研究を進めた。まず1985年3月と5月に筑波研究学園都市で開催された科学万博会場をモデル都市として気象観測とレーザーレーダーによるダストアイランド観測を実施し、その解析を行った。その結果を参考にして、1986年2月下旬に、筑波研究学園都市の中心部を対象としてほぼ同様な観測を行った。2月の観測は現在解析作業中であるため、解析がほぼ終了した5月までの観測結果の概要を述べる。 科学万博会場は、1.5×0.9Kmの広さで、都市モデルとしては、市街地の規模が極めて小さいにもかかわらず、ヒートアイランドがもっとも発達したときの会場内外の気温差は、地上で4℃以上に達した。建物群の屋上面の上の高度では、上昇流が卓越し、水平的には収束傾向が見られた。その上には発散層が存在する。ヒートアイランドの効果と強制対流の効果が重なって、科学万博会場の上空では、最大で100m程度の高さまで上昇流を生じ、全体的に見てヒートアイランド循環が存在する。 レーザーレーダーを用いて、エアロゾル濃度の三次元構造を知る手法を開発して、科学万博会場上空のエアロゾル濃度の鉛直分布に対する都市の影響を確認した。会場内外で実施した気温鉛直分布の観測結果とエアロゾル濃度の鉛直分布とを対比した結果、温位傾度とエアロゾル濃度傾度との間には、よい対応関係がある。ヒートアイランドの上限に見られるクロスオーバー現象に伴う強い逆転層のある高度と、エアロゾル濃度の高い高度は一致する。 以上から、最初に述べた研究目的を解決する端緒が得られたので、さらに2月の観測の解析にまちたい。
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