環境データを「環境統計」として体系的に整備しまた継続的に維持していくために、これまでに蓄積された環境データに関する経験的、理論的研究に加えて、統計学的な観点からいくつかの基本的な問題点を整理した。 1.大気汚染物質濃度の変動特性を把握するための試みの一つとして、東京都及び鹿島地区を対象に濃度測定器による測定を行った。結果は、現在とりまとめ中であるが、この結果を過去の観測ステーションのデータ、およびモデルシミュレーションの結果等と結びつけて、大気質状態を計測・評価する統計的モデルを作成しつつある。 2.複数の地点から互いに相関のあるデータが観測されるときに、これらのデータを共通に支配する確率法則を求める問題を考察した。 3.大気汚染データの空間時系列による解析を行い、空間構造を考慮に入れた大気汚染濃度予測を行った。また道路週辺での環境を大気、騒音に対して測定し、2ヶ月間のデータ収集を行った。 4.環境中には人体影響が問題視される種々の汚染物質が含まれるが、その全てを計測・監視することは不可能である。そこで環境汚染の指標化について、文献ならびに既存資料を基に整理、検討を試みている。 最後に大気汚染物質の空間分布構造を明らかにするための実験計画と統計的データ解析法の理論的研究を併行して進めつつある。
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