研究概要 |
昭和59年度に引き続き本年度も液体ヘリウムトラップを大気球により成層圏に打ちあげ、成層圏大気を凍結採取し、二酸化炭素の濃度と【^(13)C】/【^(12)C】,【^(18)C】/【^(16)O】比,【N_2】O,ハロカーボン、メタンの分布を測定した。 クライオジェニックサンプラーは内径15cm、長さ154cmの液体ヘリウムジュワーに外径17mm、長さ159cm(内容積約270-280cc)のステンレス容器7本を挿入したもので、昭和60年9月3日早朝、宇宙科学研究所三陸大気球実験場より放球され、高度27と19Km間で6ヶの大気試料を採取し、約5時間後に回収された。しかしながら高度27Kmで採取した容器2ヶは海上に着水後、安全弁が破裂し、回収は失敗に終わった。無事回収された25,21,19Kmの試料は各研究室におくられ、 C【Cl_2】【F_2】,C【Cl_3】F,C【H_4】,【O_2】,【N_2】O,C【O_2】の混合比とC【O_2】の【^(13)C】/【^(12)C】,【^(18)O】/【^(16)O】比が測定された。 ハロカーボン類の分析はECDガスクロマトグラフ、C【H_4】はFIDガスクロマトグラフにより、C【H_4】はFIDガスクロマトグラフによって分析した(東京大学理学部)。C【O_2】は東北大学理学部において赤外線吸収法により高精度で分析したのち、残りの大気よりC【O_2】を固定捕集した。このC【O_2】は東大海洋研究所において【^(13)C】/【^(12)C】,【^(18)O】/【^(16)O】比を測定した。またガスクロマトグラフ法により【N_2】Oを分離分析すると共に同位体比測定結果に対する【N_2】O効果を補正した。 これらの結果は成層圏中におけるハロカーボン類の光分解速度などを知る上で極めて貴重であり、またC【O_2】の同位体比測定値は世界でも最初のものでありC【O_2】の大気圏中の収支を推定する上で重要である。
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