本研究は下廃水処理を対象とした吸着・脱着再生プロセスの設計手法の確立を目的とするもので、本年度の研究成果は次の通りである。 1.活性炭の溶媒再生:約40種類の有機物を吸着した活性炭のエタノール再生を行なった。アミノ基等の電子供与性置換基をもつ有機物を除いて良好な再生性能が得られた。性能の悪い物質に対してDMF等の溶媒を用いると再生性能が向上することがわかった。また化学工場の実廃水の吸着処理に用いた活性炭のエタノールとDMFによる再生の可能性が判明した。(京大・岡崎) 2.エマルジョン除去:油分と界面活性剤を含む安定エマルジョンに活性炭を添加することにより不安定化が促進されエマルジョン分離が可能である。石油化学実廃水を用いて検討を行なった所、およそ同様な結果が得られた。以上より、エマルジョンの不安定化に凝集・吸着剤として活性炭粉末添加の効果が高いことが判明し、量的関係の把握が出来た。(明大・竹内) 3.アンモニウム等イオン除去:コークス炉廃水中のアンモニウムイオンをクリノプチロライトを用いて吸着除去した。特に吸着・脱着の繰り返し操作における吸着剤の劣化と再生操作の効率化を検討した。塩化ナトリウム水溶液を用い4回再生を行なった所、劣化は約3%程度であり、実操作に問題がない。再生操作の効率化には昨年度迄に確立した数学モデルが適用できることがわかった。(東大・鈴木) 4.リン酸イオン除去:リン酸イオンの吸着除去に使用した硫酸アルミニウム添着活性アルミナの最適再生条件及び繰り返し使用による劣化を主に検討した。アルカリ脱離がリンの回収に有効であり、硫酸アルミニウム溶液を加えることにより吸着剤の性能が回復し、最適条件で脱離・再生を行なえば20回程度の繰り返し使用を行なっても80%以上の吸着性能を維持できる。(横国大・浦野)
|