研究概要 |
1.NOxをアンモニアで還元し除去するための高活性・耐SOx性を兼ね備えた触媒を開発する目的で、酸化鉄-バナジウム、酸化鉄-モリブデン系触媒について研究し、次の結果を得た。(1)FeOxにVOxやMoOxを加えた場合、250℃以下の低温における触媒活性は、他の酸化物を加えた場合より優れていた。(2)VOx,MoOxの添加量がごく少量(0.5原子%)でも、低温における耐SOx性は保持された。300℃における触媒活性は【SO_2】処理により大きく高められた。(3)耐SOx性確認のため、MoOx/FeOx(Mo/Fe原子比1/99)を触媒とし、【SO_2】共存下10h連続反応させても触媒活性は低下しなかった。またFeOx表面を【(NH_4)_2】【SO_4】またはその分解生成物で被覆しても活性に大きな変化は見られなかった。(4)FeOx担体系をTi【O_2】担体系と比較すると、VOxやMoOxの担持量が0.5原子%という少量の場合は、【SO_2】処理前後ともにFeOx担体系の方がはるかに高活性を示した。すなわち、VOx/FeOxは現在NOx除去プロセスに広く使われているVOxTi【O_2】より活性、耐SOx性において優れていることを見出した。 2.NOxとSOxを同時に【H_2】Sを用いて還元除去する下記の反応にMoOx/MgOが高活性を示すことを過年度に見出した。 2NO +2【H_2】S→2S+【N_2】+2【H_2】O 【SO_2】 +2【H_2】S→3S+ 2【H_2】O 本年度は、この触媒の活性について実用的な反応条件で検討するため、酸素共存の影響を調べ次の結果を得た。(1)NOについては反応温度200℃ではほぼ最初から定常活性が得られ、40〜45%の転化率が得られた。(2)【SO_2】の転化率は反応温度が高くなるにしたがって低下する傾向が見られた。しかし酸素を共存させないといずれの温度でも転化率は100%となる。このことは温度が高くなると【H_2】Sの酸化が無視できなくなるためと考えられる。(3)Mo【O_3】の担持量が16wt%では活性は低いが、4〜12wt%でNOおよび【SO_2】の両反応に転化率が高いことがわかった。
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