研究概要 |
○悪臭による環境汚染は、その苦情件数が年々増加しているにもかかわらず対策が遅れている。中でも畜産業、水産加工業、肥・飼料製造業からの廃棄物や都市ゴミ、余剰汚泥などの悪臭性農水畜産廃棄物に起因するものが全体の半数以上を占める。本研究では、これらの廃棄物を微生物を用いて無臭化し悪臭公害を防除すると共に、これらの無臭化物の有効利用も目的としている。本年度は、特に家畜ふんのコンポストの指標の検索を行った。市販の配合飼料で飼育されている幼・成豚が排泄したふんをモミガラと混合し、無臭化混合種菌を添加し、底に金網を張った木箱に自然堆積した。そして、堆積直後から1ヶ月間にわたって、温度、pH,水分量,フミン酸量,低級脂肪酸量,それに各種微生物の菌数も調べた。その結果、温度は堆積2日間で最高の63℃になった。その後除々に下降し6日目で22℃になった。pHは7.3が温度の上昇に伴い9.2に上り2日以降は一定になった。40℃及び50℃に生育至適温度を有する細菌が、堆積24時間で約10倍に増加した。30℃に生育至適温度を有する細菌は逆に1/100に減少した。放線菌は、30℃及び40℃に生育至適温度を有するものが堆積2日間で1/10に減少したが、品温が下がると除々に増加した。50℃に生育至適温度を有する放線菌は全般にわたり一定であった。試料中にいた酵母・カビは死滅した。頭初58%あった水分は一日目で40%、2日目で25%となり、28日間で13%になった。フミン酸は0.56(g/l)が2日間で2倍になりその後一定になった。未処理ふん中には小松菜の発芽障害作用がみられたが、1日処理でその障害は消失した。低級脂肪酸も1日堆積でなくなり悪臭はなくなった、セファデックスG-15によるゲルクロでは未処物には後半に大きなピークのみが溶出されたが処理すると前半に大きなピークが溶出され一定となった。このように無臭化微生物を用いると豚ふんは2日間でコンポスト化されることが分った。
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