研究概要 |
地被状態・日射遮蔽等の周囲条件が屋外空間の快適性に及ぼす影響を調べるために、次の3つの観測・実験を行なった。 1.市街地における気候環境の観測:海岸から約1200mにわたる建物密集地(Site【I】)およびそれに連なる直径約800mの池を含む公園(Site【II】)から成る市街地を対象地域とした。海風時を選んで、A(海岸部)、B(Site【I】とSite【II】の境界),C(Site【II】のはずれ)の3地点では上空観測と地上観測,【I】(Site【I】の中央)と【II】(Site【II】の中央,池の中の島)では地上観測のみを行なった。点A,【I】,B,【II】,Cはこの順に海岸から内陸へと海風方向に一列に並んでいる。上空観測結果を見ると、気温はB点が最も高く、次いでC,Aとなる。また、トラバース法により算出した顕熱フラックスによれば、点A〜B間ではプラスで日射の大きいときには大きくなるのに対して、点B〜C間ではマイナスとなる。これらのことから水面の冷却効果が示される。地上観測結果を標準新有効温度(【SET^*】)により整理して比較すると、日中は点Cおよび点【II】が他地点より低くなる。また、日蔭は日向に比べると日中は8℃前後低い。 2.中庭的オープンスペースにおける温熱感覚申告実験 三方を建物にコの字型に囲まれた中庭的オープンスペースにおいて青年男女5名の被験者を用いて温熱感覚に関する申告実験を行なった。実験はアスファルト・日向,草地・日向,草地・単樹木蔭の3点で、快晴および晴天の夏の2日間に行なった。環境要素と温熱感覚を比較してみると、グローブ温度と放射感、グローブ温度と温冷感の間に良い対応が見られる。【SET^*】と快適感の間の相関係数は約0.60である。 3.小規模の樹木群を有するオープンスペースにおける微気象の観測 樹木の微気象に対する影響を見るために、アスファルト・日向,草地・日向,草地・樹木群内の3点において、初秋および冬に気象観測を行なった。日中の気温はアスファルトが高く樹木群内が最も低い。
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