研究概要 |
1)核分裂生成物の壁面への沈着現象の解明: ここでは、炭酸塩水溶液からの炭酸カルシウムの壁面付着現象によって、溶解度変化に基づく付着機構を検討してみた。Ca【CO_3】溶解度の溶存【CO_2】への依存性を利用し、【CO_2】ガスを吹き込むことによって過飽和度を調節した。測定部には、直径10mmのステンレス管を用い、これを外部より加熱することによって、壁面付着を起こさせた。測定は、レイノルズ数3,000〜10,000で行ない、下流に向って付着物の増加する傾向、レイノルズ数の増加によって付着物の減少する傾向など単純な物質移動理論では説明しきれない特徴ある結果を得ている。 2)溶融塩と水の直接接触現象の解明: 本年度は、蒸気爆発発生の条件、換言すれば安全上重要である発生させない条件をさぐってみた。その結果、溶融塩・水系では蒸気爆発発生の条件として両液温度の上限、下限がある。しかし、この温度範囲は、従来いわれているような自発核の生成理論ではよく説明できない。高温液温度の上限は、界面の不安定によって液液接触が生じる下限温度、低温液は過冷状態であることが、その発生条件になっていることが解った。 3)トリウムを含む溶融塩の熱物性値: 昨年度までは、高温における候補燃料塩の熱拡散率の測定法に改良を加え、いろいろな組成の塩に対し1,000Kまでの熱拡散率を測定してきた。しかし、溶融塩は一般にふく射透過性を持つものが多いので、より正確な測定値を得るためには、測定中におけるふく射の影響を補正する秘要がある。本年度は、この補正法の開発を行なうと共に、比熱の測定を行なって熱物性値の資料の充実に努めた。
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