研究概要 |
本研究は、農村地区における木質資源を主とした未利用資源をエネルギー資源として有効に利用する事を目的として行った。本年度の主な研究実積の概要を列記すると次の様になる。 1.間伐用多工程処理機の生産性の調査を行い、機械を林間に進入できる緩斜林地においては効果が大きく、急傾斜地においてはチェーンソーを併用するが、この場合でも単体による作業よりも効果があるとの結果を得た。 2.2連節部を有する車両の試作を行い、基本性能の把握と効率の改良をおこなった。30°の傾斜草地の走行は可能であった。 3.ペレット成形時の材料の性状、成形ダイの形状、成形孔の径がペレット成形におよぼす影響を明らかにし、成形に必要な加圧力および成形孔の直線部長を各条件毎に示した。 4.もみ殻、木材チップおよび樹皮ペレットについて、400〜800℃の範囲の熱分解生成物の分析を行うと共に、吸引式ガス化燃焼炉および吐出給気式燃焼炉を試作し、良好な成果を得た。 5.炭素鋼の高温腐食量を調べた結果、鉄の空気中での高温酸化における樹皮の灰分の影響は、サイクル加熱の影響より小さいことが判明した。しかし軟鋼では逆の傾向であった。 6.Sペレット工場を一事例として、材料の搬入からペレット成形までの消費エネルギーを算出した。ペレットの発熱量をベースにすれば、消費エネルギーは1/10内外であった。また最少消費エネルギーで材料運搬が可能な最適計画を行った。 7.ペレット工場2社を選び、エネルギー収支の調査を行った結果、エネルギー投入出比は6〜8であった。I工場では年間1,300klのガソリンに相当するエネルギーを開発していると考えて良い。 8.演習林を拠点として山村のエネルギー利用効率の向上を計る基礎調査を行うと共に、山間の渓流発電システムの開発を行い、年間連続運転によりその有効性を示した。
|