合成ガスからの各種液体燃料の選択的合成のための触媒開発を目的として研究を行い下記の成果を得た。 【i】)冨永博夫(東大工)F-T反応の一次生成物のオレフィンが金属/ゼオライトの二元機能触媒としての改質作用を受け選択的にイソパラフィンを与えることを明らかにした。また触媒活性の経時変化を調べると共に、失活原因とその防止について検討した。 【ii】)乾智行(京大工)メタノールをエチレンとプロピレンへ定量的に変換するFe-シリケート触媒、プロパンなどの低級パラフィンから約70%の選択率で芳香族炭化水素を合成するGa-シリケート触媒を開発した。 【iii】)岩沢康裕(東大理)担持超薄膜素材を担体としたPd金属触媒及び性質の異なる種々の酸化物担体上に固定化したRuクラスター触媒において、構造、物性と触媒作用との関連を見出した。 【iv】)新山浩雄(東工大工)コバルトカルボニルを固定化した触媒を用いオレフィンのホモロゲーション、オキソ反応をF-T反応に重畳させて、生成物の炭素数分布を制御することが可能となった。 【v】)村上雄一(名大工)PSRA法による分子論的理解に基づいて触媒の開発を行い、希土類酸化物とRu金属触媒を複合化して、オレフィン選択性および長鎖炭化水素選択性の高い新しい複合触媒を得た。 【vi】)八嶋建明(東工大理)ブタンから芳香族炭化水素を合成するのに有効なGa/HZSM-5触媒の作用を検討し、含浸法でGaを担持したものが結晶性ガロシリケートよりも有効であることを明らかにした。 【vii】)藤元薫(東大工)スラリー反応器で担持コバルト触媒の工学的検討を行ない、50Å以下の小孔径をもつ触媒では細孔内に生成物の拡散が律速的となり、みかけ活性が低下すると同時にオレフィンの2次反応が進行することを明らかにした。 【viii】)菊地英一(早大理工)鉄超微粒子触媒が液相F-T合成において高活性を示し、金属Kを超音波分散・添加すると生成物選択性が変化し、また、活性劣化の原因である触媒の酸化が抑制されることがわかった。
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