研究概要 |
研究目的 将来のエネルギーシステムでは、電気エネルギーの効率的貯蔵法と化石燃料からのより効率的な発電が重要となる。このために期待されるシステムは「電気エネルギーの化学エネルギーとしての貯蔵」と「化学エネルギーを直接電気エネルギーへ変換する発電方式」である。 研究成果の概要 1.電力貯蔵・発電用次世代電池の開発に関する工学的研究 溶融塩系の数百度、高温固体電解質系の千度で作動させ高効率が実現できる次世代電池関係5課題をとおし、溶融炭酸塩燃料電池の酸素極と水素燃料極の反応を速度論的に究明し電極材料設計の基礎を確立、高温固体電解質燃料電池開発に必要な酸素極材料としてのスパッター法によるペロブスカイト型酸化物の検討、プロトン導電性電解質を応用した水蒸気電解とその逆方向の水素・酸素燃料電池に関するペンチスケールテストによる実証、電力貯蔵用Na/X(X=S,Se,Te)系溶融塩高エネルギー密度電池の電極反応の解析、溶融炭奏塩の酸・塩基平衡の実験的検討を行った。 2.メタノール化学エネルギーの電気化学的有効利用に関する研究 3課題をとおして、高活性で耐被毒性に優れた電極触媒探究、ガス拡散電極を応用した従来の常識を打破した高性能極の実証、メタノール減極電解を亜鉛電解へ応用するための高性能極の開発と8千時間におよぶ実証がなされた。 3.電気化学リアクター・材料関係 4課題をとおして、大量の電気エネルギーを消費する現行のアルミニウム電解法にかわる画期的な省エネルギー電解法として期待される高温塩化アルミニウム電解を確立するに不可欠な内熱・二重電極式電解槽のスケールアップのための炉壁構造の検討、熱力学的に優先する酸素の発生を抑えて目的の塩素を高効率、高純度で電解採取するための塩水電解用高性能電極触媒の設計法の確立、流液型三次元電極を用いた高性能電気化学リアクター開発に必要な基礎の究明、現行より大容量の電源を塔載する人工衛星に必要な高性能水素極を水素吸蔵合金方式によりその画期的改良を達成しようとする研究、電池の中心である活物質の減極作用を工学的に扱う研究を行った。
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