研究概要 |
1.研究目的 大規模な電力消費圏への将来の高密度電力輸送技術の一つとして極低温抵抗送電、超電導送電などの新送電方式が考慮されている。これらは1回線、3〜5GWの送電を可能とするものである。本研究では、そのように大電力が集中する線路を高機能を具備した大都市地域に適合した形で導入する方策について検討し、次の成果を得た。 2.研究成果 (1)人口300万人規模のO市における都市送電網の実態調査を行い、その結果を踏まえ、500kVの外輪線と154kVの都市内送電線とからなる一つのモデル系統を設定した。このモデル系統において、約1/4世紀先の予想電力需要に対して、500kVで1回線5,000MW程度の送電容量を持つ極低温送電線1回線を導入した場合について検討を行った。 (2)極低温送電線事故時を想定し、154kVのみの在来送電線に、極低温送電線で送電していた電力を分散して負担させることを試みた。しかし、この場合、母線における電圧低下が著しく、このままでは電力供給が確保できないことが明らかとなった。 (3)電力系統の進化段階としては、154kVを充実させるだけでなく、適当な時期に、275kV送電線を導入しておかなければ、この種の大容量送電線路を導入し難いことを指摘した。 (4)外国で採用されているネットワーク状系統に極低温送電線路を導入する場合、極低温送電線路に最大限の潮流をのせるためには、都市内送電系統を全面的にネっトワーク化するのではなく、放射状系統との混在となることが判明した。 (5)同期発電機の再投入実験と理論解析とから、安定・不安定の判定に関して、発電機の内部磁束の過渡挙動にまで立ち入らねば解明できない現象があることを明らかにした。 (6)真空ヒューズ強制溶断方式による高速転流機構について実験、検討し、所要の装置規模を試算した。その結果、事故電流を系統周波数の1サイクル以内の高速で、限流用抵抗に転流させ得る目処がたった。
|