(1)超電導同期機の動特性に関する基礎研究 20kVA超電導発電機を模擬送電線を介して、商用電源に連係した系統において、系統急変時の過渡特性実験を行い、併せてシミュレーションを行った。また、エネルギー転送回路を用いた超電導発電機励磁電源を設計・製作した。一方、電力系統に事故が発生したとき、超電導界磁巻線に過渡磁界が生じる。この過渡磁界による交流損失、電磁力などを計算し、超電導界磁巻線に与える系統のじょう乱の影響を検討した。 (2)極低温および超電導ケーブルの設計と冷却システムに関する基礎研究 試作した20m長の押出しポリエチレン絶縁超電導ケーブルの冷却・通電試験を行った。LHeによるケーブル全体の4.2Kへの冷却試験を2回実施し、ケーブルの熱絶縁および端末部からの侵入熱を評価することができた。通電試験は、電源容量の不足をLN2冷却変圧器とコンデンサによる共振回路で補うことにより、2.5kAまでの通電に成功した。また、LH2冷却ケーブルの実現に備えて、LH2のもつ大きな絶縁耐力と小さい誘電正接などの要因を明らかにするために、光電流の注入効率を各種極低温液体中で観測し、その結果をもとにLH2の電気的性質に関する特徴的な点を他の液体と比較しながら検討した。 (3)エネルギー貯蔵用超電導マグネットの特性と電力系統における応用 超電導エネルギー貯蔵装置により電力系統の安定化を実現するために必要なSMESの電力貯蔵量および交直変換器の容量について考察を行った。発電機を含めた模擬系統において受動型フィルターの効果を実験的に検討すると共に、能動型フィルターの製作および簡単な予備試験を行った。また大電力貯蔵のための大型超電導マグネットの保護法に関して、小型モデルコイルを3分割し、強制的にクエンチさせ、内部電圧の過渡現象を把握し、その保護方法確立の予備的実験を行った。
|