オープンサイクルMHD発電の実用化の際に重要となる電極を含む発電チャネルの長寿命化と安定な電力抽出を目的とし、プラズマの不安定性、燃焼ガスプラズマの特性、プラズマと電極壁および絶縁壁との相互作用、ならびにアークの制御、などに関する研究を行っている。本年度は、1.燃焼ガスプラズマの揺らぎ測定法の開発、2.高温燃焼ガスプラズマの性質の解明、3.電極アーク特性の解明、4.電極近傍における放電現象の理論的解析、5.二成分磁界配位におけるチャネル内の電気・熱・流体連成現象の研究、の五つの計画のもとに研究を実施し以下の成果を得た。 1.揺らぎの発生条件を明らかにするため、遠赤外レーザを用いた電子密度と導電率の高精度測定法の開発を終了した。また、レーザ誘起螢光法によりプラズマ中のシード原子密度の揺らぎを測定するためのアルゴンイオンレーザ励起連続発振色素レーザの製作を終了し、フレームからの螢光信号を観測する事に成功した。 2.MHD発電プラントで生成される微粒子の性状を均一凝縮理論および実験により検討すると共に、陰極を覆う石炭スラグ上のアークスポット実面積当りの電流密度を求めた。 3.開発した二次元シード空間分布測定装置を火炎中の模擬MHD電極表面境界層内のシード分布測定に適用し、シードの添加量、およびガス流速によってシード分布が変化する事を実験的に明らかにした。 4.MHDプラズマの放電現象の理論解析により、電極間電位分布、電極降下の対電流特性(主として負抵抗特性)、微小アークモードから集中アークモードへの通電モードの移行等の考察を行った。 5.二成分磁界がMHD発電機内の熱電気流れ場を一様化する事を解析的に示すと共に、一成分磁界下の顕著な非一様性を観測し、電極境界層での連成現象観測手段として高速温度分布測定法を確立した。
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