1.衝撃波圧縮による着火の実験では、今年度は燃料ガスとして水素・酸素の混合ガスを用いて同様の実験を試みた。その結果、(【i】)当量比の水素・空気の混合ガスの場合の方が、水素のみを噴射する場合よりも1000K以下の領域で着火しやすい、(【ii】)1000K以上では両者の差は小さいが、混合ガスを噴射した場合の方が着火時間はわずがながら小さくなっている、ことがわかった。 2.ピストン圧縮の実験では、測定部の側壁にグロー・プラグを固定し、実験開始前の直前にこのプラグを点火した。その結果、着火時期に関して前年度までのデータでは測定部内の圧力変化がピーク値に達した後に着火した場合が多かったが、本年度には圧力がピーク値を示す直前に、即ち圧縮期の終わり近くに着火したデータガ多かった。着火遅れ時間に関しても、プラグを挿入した方が10分の1程度に短くるることがわかった。 3.非定常噴流の実験では、大気中に噴射される非定常空気噴流の拡散について、熱線風速計によりその速度を求め、多数回の噴射によりアンサンブル平均し統計処理した。その結果、噴流の上流部分では定常値に達しており、この領域は定常噴流と同様な性質を持っていると考えられ、先端の部分は、噴流の非定常領域と思われる。 4.反応と伴う非定常噴流の数値シミュレーションでは、陽的なMc-Cormack-FCT汚を用いて、計算した。数値モデルとしては、現象が乱流であることから、古典的モデルと、さらに乱流効果を陽に付加するためにk-εモデルを考慮したものを用いた。PR-εモデルを考慮したものでは、着火位置が噴流の大きく膨らんだ所であり、火炎が半径方向にも伝播していることがわかり、実験結果をよく説明している。
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