研究概要 |
本年度は総括班会議を3回行い、研究の進め方、研究集会、成果報告の方針を決め、さらにオーストラリア、カナダよりの共同研究申込への対応の検討もおこなった。また石炭班全体会議および研究発表会を開き、約200頁の研究成果報告書を作成した。各班の成果は次の通りである。 【◯!1】石炭の直接液化と液化油の精製に関する研究:石炭の液化触媒について、モリブデン、鉄系複合酸化物、スズ系2元液体の作用機構を明らかにした。またアルキルおよび水素供与溶媒の高性能化、低温長時間-高温短時間液化プロセスの開発を行った。 【◯!2】石炭のガス化とガス精製に関する研究:基礎研究としては、石炭のガス化反応機構の解明、炭種によるガス化反応性の相違の原因の究明などに大きな進展がみられた。また、Ca,Ca-Fe2元系などの安価な触媒が試作された。一方工学的研究としては、高温ガス化での灰分の挙動とそのガス化速度への影響の検討、縦方向仕切板付き流動層によるガス化などの研究が行われた。しかしガスの精製についての研究は今後推進する必要がある。 【◯!3】合成ガスからの液体熱料の製造に関する研究:合成ガスからのイソパラフイン生産については反応機構と触媒失活機構が明らかになり、触媒改良への手掛りがえられた。メタノール、パラフインなどのガソリンへの改質反応に有効なFe-Ga-シリケート、Ga/HZSM5など新しい触媒が開発された。Pd,Ru,Coなどの金属触媒の機構、物性と触媒作用の関係が明らかにされ、触媒設計指針がえられた。 【◯!4】石炭変換利用における石炭処理技術:石炭利用のための処理技術のうち、水および油スラリーの流動化、安定化について基礎的知見をうること、溶媒および超臨界ガスによる石炭から液体成分の抽出、予備的熱処理による脱硫について研究され、液化プロセスの基礎になる固液気3相の流動性の解明も行われた。
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