研究概要 |
LiAl中のLiイオンの拡散に関する研究から以下のような成果が得られた。 一定温度に保った時のLiAlの電気抵抗率の時間的変化をアルゴンガス雰囲気中で測定した結果、電気抵抗率の急激な減少が観測され30〜50分で一定の値になった。この結果は、Al格子点中のLi原子(【Li_(Al)】)がLi原子空孔(【V_(Li)】)を媒介としながら外部拡散することにより、 LiAl中のLi濃度が減少し、組成が48at%Li付近に達したためと推定される。また、以上の結果を用いて、電気抵抗率の勾配変化法から求めたLiイオンの拡散の活性化エネルギーは、Ea=1.2 eVである。この値は、LiAl中のLiイオンの自己拡散の活性化エネルギーEa=0.11〜0.15 eVよりも一桁大きい値である。本研究で求めたEa=1.2 eVは【Li_(Al)】から【V_(Li)】,【AL_(Li)】から【V_(AL)】へのどちらかの原子移動に起因しているものと考えられる。 以上の結果から、次に述べる実用化の見通しが開けた。 (1)電力取り出し用固体電解場 LiAl中のLiイオンの自己拡散のエネルギーが極めて小さいので、LiAlを温度差発電用材料として利用できる可能性がある。 (2)電力貯蔵用電池の長寿命化と高効率化 LiAlを電力貯蔵用電池の電極材料として使用すれば、アルカリ溶融塩中のアルカリ金属による電極の腐食防止が可能であり、電池の長寿命化の達成と600K以上での高効率化が期待できる。
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