研究概要 |
1. 樹皮の化学処理条件:樹皮成分中の吸着活性基を増加する目的で、硫化水素、硫化ナトリウム、硫黄および稀硝酸で、からまつ樹皮を処理し、各々の処理樹皮による銅イオンの吸着能を比較した結果、稀硝酸処理が最も効果があり、又硝酸にホルマリンを添加することにより効果が更に改善されることがわかった。以下の実験に使用する吸着剤の製造条件は、樹皮10g当たり3%硝酸150ml、ホルマリン1ml、沸騰水浴中の加熱時間15分とした。 2. 樹種間の吸着能の差:実験に供した樹種は、すぎ、あかまつ、からまつ シベリヤからまつである。吸着能の差を見るために吸着剤1gを人工海水(ウラン濃度3ppb、NaCl2.5%,Mg【Cl_2】0.5%、pH8.3)2l中に懸掻かきまぜて、攪拌時間と吸着量の関係を調べた。すぎ、あかまつ、からまつは、24時間でほぼ最大吸着量に達し、添加ウランの95%を吸着した。シベリヤからまつは前記3者より劣り最大吸着量は添加ウランの85%を示した。 3. 海水濃度における平衝吸着量:ウラン濃度3ppbにおける平衝吸着量をそれぞれの樹種について測定した。いづれも2mg/g以上の平衝吸着量を示した。吸着能は大きい方から、すぎ、あかまつ、からまつ、シベリヤからまつの順であった。 4. 粒子内拡散係数:すぎ、あかまつについて粒子内拡散係数を測定した結果、両者共2.0×【10^(-6)】【cm^2】/sの値が得られた。5. 天常海水と水工海水との比較:佐渡島沿岸より採取した天常海水と人工海水との比較を2.で示した吸着実験と同じ条件で行った。天然海水からのウラン吸着は、人工海水の92〜95%であった。 6. 吸脱着の反復:1NHClを脱着剤として吸脱着の反復を試みた。吸着量は、2回目100%、3回目85%、5回目64%であった。
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