研究概要 |
半導体・溶液界面の光機能を利用して、炭酸ガス(【CO_2】)の光電気化学還元を行わせ、有用な有機物を合成して太陽の光エネルギーを化学エネルギーに変換しようとするのが本研究の最終目的である。半導体電極としてp-GaP電極を用い、水溶液を電解液として【CO_2】の光電気化学還元を行った場合にはギ酸とCOを、また、非水電解液を用いた場合にはギ酸、COの他にシュウ酸も生成することを報告してきた。 本年度は【CO_2】の還元効率を上げ、その生成物の選択性をよくするため非水電解液(0.1M過塩素酸テトラエチルアンモニウム/プロピレンカーボネート)の含水量の影響、p-GaP電極表面への金属(Pb,In,Zn)被履の効果などについて検討した。また、p-In-Pを半導体電極とし、水溶液を電解液とした場合についても検討し、次のような結果を得た。 (1) 非水電解液中の含有水分をできうる限り除去すると、シュウ酸の光分解も抑制され、【CO_2】の還元効率が向上する。 (2) 非水電解液中の含水量を増大させると、pb被履p-GaP電極ではシュウ酸の生成効率が急激に減少し、COの生成効率は一担極大を示してから次第に小さくなる。また、水素,ギ酸の生成効率は次第に増大し、ついに主生成物になる。 (3) p-GaP電極へのPbおよびInの被履は-1.5〜0Vの電位範囲で、光電流の増大をもたらし、電極を安定化するが、Znは多少問題がある。 (4) p-GaP電極に被履した金属の生成物への影響は【CO_2】の電解還元における電極金属の触媒効果に対応し、Pbの被履ではシュウ酸の生成効率が約10%から50%となり、In,Znの被履ではCOの生成効率が50%前後からほぼ100%となる。 (5) p-InP電極を用い、水溶液を電解液とした【CO_2】の光電気化学還元では、【CO_2】の還元効率は、水溶液中のp-GaP電極のときより、多少向上するが、被履金属の効果は小さい。
|