本年度は昨年度に続いて灰分除去率を中心に研究を進めたが、親水性に富む鉱物粒子の表面を充分に水に濡れた状態に保持しておく事が脱灰率の向上の為の基本であるので、この点を(1)物理化学的条件と(2)攪拌条件の双方から検討し、合理的な脱灰条件の選定を目差した。 1.物理化学的条件と脱灰性能。(1)乾式粉砕に代って湿式粉砕で試料を調製したところ、多くの石炭について好ましい効果が現れ、灰分3%以下の石炭の製造が可能になった。(2)ペレット中のバインダを除去して再び造粒を行わせる多回造粒操作を繰り返すと、脱灰率70%、ペレット灰分3%弱にまで到達する。(3)多回造粒でのバインダには低沸点油が望ましいと思われるので、各種のバインダで造粒を試みたところ、低密度・低粘度の油ほど高い脱灰率が得られた。(4)バインダ量が増すにつれて脱灰率が向上する事がわかった。 2.攪拌条件と脱灰性能。(1)攪拌翼の先端速度を毎秒数mまで上げると脱灰率は70%まで向上する。大きな比表面積を持った小さなペレットを高剪断場にさらしペレットに付着している鉱物粒子を水中に再分散させる事が、脱灰率向上に寄与しているものと思われる。(2)バインダ添加直後短時間の間に脱灰率が大きく変化する事がわかった。この段階ではまだペレット径が小さく高剪断場での鉱物粒子の再分散効果が現れているものと思われる。時間経過と共に脱灰率はある平衡値に達するが、高速攪拌ほど早く平衡値に近づく。(3)造粒初期に高速攪拌で脱灰率を上げた後低速攪拌で造粒を進行させる操作法が動力節減の点から望まれる。(4)小量のバインダを添加して造粒すると100μm程度の微小ペレットが生成するので、浮上分離によりテールを分離した後新たに清水を加えて高速で攪拌するという洗浄操作を繰返すと、脱灰率が向上する事がわかった。
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