1.モーエル炭のテトラリンによる無触媒液化反応を、温度400〜450℃、圧力20〜60MPa、滞留時間5〜20分で流通法によって行ない、それぞれの反応条件に相当する生成物を溶剤抽出法によって未反応炭、プレアスファルテン、アスファルテンおよびオイルの各成分に分別した。これらの結果にモデルによって数学的に導出された速度式をあてはめ、液化各素過程の速度定数を計算し、主としてその圧力効果を前年度測定したワンドアン炭の場合と比較した。モーエル炭の液化反応速度は400と420℃では顕著な差はみられず、450℃で急激に大きくなり、圧力による促進効果もこの温度で、より明暸に現われた。またモーエル炭の液化反応はワンドアン炭のそれにくらべて複雑で、かなりのバイパス反応がおこることが明らかとなった。一方モーエル炭の可溶化初期過程は、ワンドアン炭にくらべて加圧による促進効果がきわめて大きく、20から60MPaまで反応圧力を上昇させることによってほぼ1.6〜2.3倍促進されることがわかった(ワンドアン炭の場合は1.2倍)。 2.ベンジルエーテルの熱分解を温度350〜450℃、圧力10〜80MPaの条件下で追跡し、実験結果を動力学的に解析してC-O結合の解離反応に対する速度定数を求めた。これらはいずれも圧力の上昇によって増加し、酸素含有量の多い、すなわち若年炭ほど液化反応は加圧によって促進される可能性があることを示した。またこれらの結果はC-O結合の解離が極性遷移状態を経由して進行することを示唆した。
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