研究概要 |
現在の核融合研究にとって、ECH用短ミリ波帯高出力電源の開発が最重要課題の一つである。このため、本研究者らは新しいマイクロ波管ジャイロ・ペニオトロンの提案を行い、ジャイロトロンに比し、直流磁場の低減と高効率化の可能性を示唆してきた。従って、本研究の目的はジャイロ・ペニオトロン動作を実験的に検証することであり、主な研究実施計画は下記の3点である。 1.計算機によるジャイロ・ペニオトロンの動作解析と現有電源設備に合致した試作管の設計。2.サイクロトロン高速波管用高性能電子鏡の検討。3.既存のジャイロトロンを用いたジャイロ・ペニオトロン動作の検証と試作管による実験的検討。以下に研究結果を略述する。1.計算機シミュレーションによりジャイロ・ペニオトロンの最適化を行い、本電子管動作はサイクロトロン周波数の3倍の高次動作であるが(必要な直流磁場は基本動作の1/3)、最大変換効率58%を得た。又、現有電源設備(40KV,6A)に合わせて試作管の設計を行った。設計仕様は動作周波数70GHz、出力28KW、変換効率12%である。 2.サイクロトロン高速波管の動作効率の向上には施回エネルギーの割合の大きなビーム源の実現が必要であるが、かかるビームを発生する電子銃の検討を行い、軸速度に対する回転速度の比α=2、ビーム電流6Aの電子銃の設計を行った。この電子銃は試作管に搭載された。 3.京大、福井大の既存のジャイロトロンを使用し、電子ビーム配置を調整し、ジャイロ・ペニオトロン動作の基礎実験を行い、両者においてこの動作を確認した。試作管の完成を待って発振実験を開始した。現在までに、設計通りの発振周波数、動作モードが確認され、発振出力2KWを得た。又、大出力化において問題となるモード競合は観測されなかった。今後、磁場系との軸調整等で、設計仕様が実験的に確認されれば、本電子管により短ミリ波大出力電源の実現が期待される。
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