研究概要 |
中性子透過ベンチマーク実験としては、大阪大学オクタビアンを用いてクロム平板、LiF球、テフロン球からの透過中性子スペクトルを中性子飛行時間法を用いて測定した。Crの実験は、連続エネルギーをンテカルロ計算コードMCNPで解析した。その結果JENDL-3PRIの二次放出中性子分布は14MeVの弾性散乱が45°方向で過大なこと、非弾性散乱は連続レベル、離散レベル、とも前方で過小評価であることがわかった。LiF球とテフロン球の実験の1次元のNITRANコードによる予備解析では1MeV以下で大きい不一致がみられる。又、SUS304平板と石灰岩コンクリート平板の実験解析がENDF/B-【IV】データを用いてMCNPコードで行われ、SUS304についてはCrの断面積に起因する不一致が6〜11MeVにおいてみられた。石灰岩コンクリートでは一致は比較的よいことがわかった。しきい反応断面積については、これまで測定データのない【^(98)Mo】(n,a)【^(95)Zr】反応等の測定がなされた。 中性子輸送計算に含まれる誤差は中性子断面積の不確定によるものと、計算方法に伴うものに大別される。前者については、二次中性子の角度分布、エネルギー分布の不確定さの影響を考慮できる感度・誤差解析コードシステムSUSDを開発した。後者については、1次摂動論を用いて散乱断面積のルジャントル展開の影響等を評価する方法を開発した。米国のBCSSのブランケットを対象に誤差評価を行ったところ トリチウム増殖比は【^7Li】やFeの中性子断面積の不確定に起因する誤差の寄与が大きく(5〜6%)、散乱断面積のPe展開による誤差は小さい(0.7%〜0.3%)ことがわかった。又、高速漏洩中性子束は42群構造のGICX-40を用いた計算では、McNPに比してファクター3〜4の過小評価になることもわかった。
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