現在トリチウム理工学分野ではトリチウムの計測、貯蔵および移送技術を中心に活発に研究を進めており、トリチウムの環境動態分野では環境中に放出されたトリチウムの挙動を知るとともに、それが生体系を通じて人体に摂取される過程を解明しようとしている。更に生物影響の分野では従来通り生体にトリチウムが取り込まれた時の身体的ならびに遺伝的影響の解明に鋭意努力を続けている。本研究はこれら三本の柱の研究の相互連絡・調整を行なうとともに、得られた成果を共通の場で討論・意見交換することにより、より広い、より高い立場から総合的に問題を集約しつつ、それら問題点の解決へ向けて強力な推進をはかることを目的とする。 本年度は3回の研究会を開催した。第1回会合は7月10日(水)に開かれ、昭和60年度総合総括班事業に係わる「PWI研究の為のトリチウムプラズマ実験装置の設計・検討」につき事業概要の説明および今後の計画について報告を受けた後、今後の進め方について種々意見を交換した。第2回会合は10月21日(月)に開催され、昭和61年度のトリチウム理工学班の活動舞台を中心に種々討議を行なった。第3回会合は昭和61年2月4日(火)であって、2月3日(月)、2月4日(火)の両日行なわれたトリチウム関係の研究成果報告会での各報告の評価と総括を行なった。 前述の昭和60年度の研究成果報告会は学士会館(神田)で出席者約100名の参加を得て盛大に行なわれた。終りに例年通り研究成果報告集(トリチウム理工学・環境動態・生物影響)をつくり、関係各方面並びに執筆研究者各位に配布した。 尚本年度を最後に、トリチウム理工学班は本研究から離れ、他の研究グループに分散、研究を進めることになった。
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