液体金属Liの自然対流熱伝達に対する強磁場の影響を調べるため、常伝導垂直磁場下の実験と合わせて、超伝導磁石による重力及びヒーター軸に平行な磁場下の実験を行ない、両者の結果を比較した。内径51mm、長さ約1.5mの304SS製円筒容器にLiを入れ、外径12.5mm有効加熱長54mmの高熱流束ヒーターピンを鉛直上方より挿入して加熱した。外径0.5mmの非接地型熱電対8本をヒーターピンに取り付け、内2本はピン壁中に埋込んで、液体及び壁面の温度を測定し、温度ゆらぎ及び熱伝達特性を求めた。試験部外側は断熱構造で、超伝導磁場は内径10cmの常温ボアを有する長さ57cm(30cmが1%磁束一様性)最高5Tである。Li温度は320℃〜510℃で実験した。実験パラメータは熱流束10〜40W/【cm^2】、垂直磁束密度0〜1.2T、平行磁束密度0〜3Tの範囲で変化させた。実験結果の概要は以下の通りである。垂直磁場、1)温度変動は、0.05〜0.5T程度の弱い磁場では、磁場のない場合に比べて失きなり、強磁場では抑制され、ITを超すと著るしく減衰する。2)熱流束が大きい程、温度変動が大きくなり、強磁場まで抑制されない。3)ヌッセルト数は、温度変動と同様に弱磁場で大きくなり、強磁場で低くなる。3)磁場効果の角度依存性は比較的小さい。平行磁場、1)温度変動は、垂直磁場と同様、弱磁場ではかえって少し大きくなる。又、強磁場になると周期が長くなるが、減衰され難い。2)熱伝達も磁場のない場合より、少し良くなるか、又は、あまり変ならい。 この様な超伝導磁場下での伝熱実験は、世界最初のものであり、3Tまでではあるが、磁場のない場合と比較して、自然対流熱伝達は大差がないと云う結果を得た。今後、引続き強制対流の伝熱実験を行う予定である。その他、垂直磁場下の矩形管で電磁圧力損失を測定し、一様電流・放物形速度分布モデルに基づく理論値と合う結果を得た。
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