研究概要 |
本研究では、定常高密度熱源としてプラズマジェットを使用し、高熱負荷状態における各種セラミックスの様々な損傷について基礎的研究を行ない、それらの試料の損傷状態をもとにして熱負荷との関連を明らかにするとともに、セラミックスの核融合炉材料としての適性の評価を試み以下の結果を得た。 アルミナ(【Al_2】【O_3】),ボロンナイトライド(BN),窒化ケイ素(【Si_3】【O_4】)黒鉛(C)の各セラミックス材料に対して、プラズマジェットによる熱負荷の状態をトーチとの距離l、試験時間tにより変化させた。このプラズマからの熱負荷については、水冷銅ダミーを用いた熱量測定実験により、l=10mmにおいて2.4×【10^3】W/【cm^2】のエネルギー密度が得られている。【Al_2】【O_3】,【BN_2】,【Si_3】【O_4】の損傷については、距離に対する損耗量の傾向が指数的であり、熱負荷と距離の関係と同様の傾向であった。Cの場合は他のセラミックス材料と異なる傾向を示したが、高熱負荷での損耗量は他の材料と比較して小さい値が得られた。各セラミックスの損耗量の大きさは、l=20mm,t=10secの場合、【Al_2】【O_3】<BN<C<【Si_3】【O_4】となったが、【Al_2】【O_3】については溶融、クラックの特徴が見られた。 次に熱負荷試験で得られた各種セラミックス試料の表面損傷状態を光学顕微鏡、SEMによって観察し、X線回折により表面組成を明らかにした。その結果、【Al_2】【O_3】については、熱負荷後の表面は溶融再結晶により粒界が明確になり結晶粒が粗大化し、αアルミナのみが同定された。また、BN及び【Si_3】【O_4】についても分解蒸発による表面層の変質が観察された。特に【Si_3】【O_4】は、Siの粒状組織が形成されていた。しかし、Cについては表面に多数のボイドが形成され激しい蒸発現象を裏付けていた。なお熱負荷を与えると、全てのセラミックス材料の表面層において、ビッカース硬度の低下が生じていた。
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