研究概要 |
1.標準パターンの作成 (1)ヒノキ 昨年度完成した暦年標準パターンについて、前37年をさかのぼる試料を探索したが、それにいまだに成功していない。ただし、縄文時代晩期の柱根4点から200年分の年輪データを収集している。 (2)コウヤマキ 平城宮跡出土柱根による672年分の標準パターンのほかに古墳時代の棺材から296年分、弥生時代の棺材から698年分の標準パターンを作成した。しかし、いずれも暦年が末確定であるし、相互のあいだの重複位置はいまだに明確にしえていない。優秀な試料の探索につとめている。 (3)ヒノキとコウヤマキのほかに、スギ,ヒバ,サクラ,クリなどについても試料を収集し、標準パターンを作成している。 2.ヒノキの標準パターンの適用可能地域について 木曽ヒノキの標準パターンと岩手県産ヒバの年輪変動パターンとのあいだには、有意な相関があることが判明した。また、遺跡出土材や古建築部材のデータから、山口県や香川県も適用可能地域に含まれることが確認できた。現在、応用研究では、15都府県の試料パターンと標準パターンの照合を試みている。 3.X線像による年輪構造の解析 X線像の濃度変化のデジタル化には、年輪撮影段階を含めて、技術的障害はほぼ克服できたが、このデータを年輪変動データに置換する手法の解発にやゝ手間どっている。しかし、目禄計測データとの対比によって用途はつきつつある。 4.古気象復原モデルの作成 気象とくに降雨日の20年周期の変動と年輪パターンの変動の相関を把握できた。
|