研究課題/領域番号 |
60065001
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研究機関 | 奈良国立文化財研究所 |
研究代表者 |
田中 琢 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (40099958)
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研究分担者 |
佐藤 忠信 京都大学, 防災研究所, 助教授 (00027294)
光谷 拓実 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター測量研究室, 主任研究官 (90099961)
上野 邦一 奈良国立文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部遺構調査室, 室長 (70000495)
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キーワード | 年輪 / 考古学 / 建築史 / 美術史 / 年代決定 / 気象 |
研究概要 |
1.標準パターンの作成 (1)スギ 秋田、山形県下の遺跡出土木製品から収集した年輪データで西暦405年から1285年の暦年標準パターンを作成した。さらに、静岡県下の遺跡出土木製品から収集した年輪データで紀元前420年から西暦225年の暦年標準パターンを作成した。これらの標準パターンに暦年を確定したのは、いずれもヒノキの暦年標準パターンとの照合によった。 (2)コウヤマキ 平城宮跡出土の柱根による672年分の標準パターンと古墳時代の棺材等で作成した296年分の標準パターンとは、相互の間の重複位置を明確にできた。昨年度、弥生時代の棺材等で作成した698年分の標準パターンは747年分に拡張できた。しかし、いずれの標準パターンにもまだ暦年は確定していないが、これらに暦年を確定するのも近いことが予想される。 2.考古学に関連した研究 秋田県仙北町払田にある国指定史跡「払田柵」の内郭、外郭角材列の伐採年代は西暦801年、802年と、その創建年代が9世紀初頭であったことを明らかにした。さらに、内郭東門北側の角材の伐採年は907年であることをつきとめ、大規模な改修年代を確定した。その他、建築史、美術史、地形学に関連した年代測定でも成果をあげることができた。 3.古気象復モデルの作成 長野気象台観測データと木曽ヒノキ年輪との相互相関より、降雨日数の方が平均気温よりも、年輪生成育に強い相関をもっていることがわかった。そこで、年輪と降雨日数の間に、自己回帰・移動平均モデルを仮定した。モデルの係数を同定するために、カルマン・フィルターを用いた。この結果、モデルの係数は精度よく求まった。得られなかったモデル係数と976年分の年輪データを用いて、古い時代の降雨日数の再現を試みた。
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