本研究の目的は、空間的に分散している知的情報資源の統合化と、密に結合されているシステム内の多種多様の情報を徹底的に結合させ、高度の並列処理のもとで知的処理システムを構築するための方法について研究することである。60年度では、特に次の2つのプロジェクトを推進し、以下の成果が得られた。 1.協調的な知的分散処理システムに関する研究 2.並列推論マシンの構成と資源の統合化に関する研究 1.については、知的分散処理システムを構成する上で最も基本的な課題であるプロトコルと通信ソフトウェアの開発法について研究し、特に、将来、自動生成システムの核となるプロトコルと通信ソフトウェアの知的開発支援システムIDESS/85を開発した。IDESS/85の特長は、プロトコルの仕様記述言語及び通信ソフトウェア向き言語として、開発・保守を容易にする新しい言語NESDEL及びIDLを開発し、同時に、NESDELの知的エディタとNESDELからIDLへの変換アルゴリズムを開発した点にある。IDESS/85を用いると、知的なマンマシンインタフェースのもとでプロトコルを開発し、自動的に対応するソフトウェアを生成することができる。 2.については、OR並列を中心にプロセッサアロケーション及びプロセッサ間通信方式の研究により、並列推論マシン構成のための効率的なアーキテクチャを提案した。また、情報資源の統合化について研究し、特に重複分散データベースの並行処理において、メタデータ上のボトルネック問題を従属トランザクションの導入により解決する方法を提案した。 その他 大規模マルチプロセッサシステム、情報ネットワークの信頼性の評価法、データベースの統合化方式などの結果が得られている。
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