本研究は一般の曲面物体の3次元モデルを用いた記述と認識に関するものである。ここでは物体の記述の方法として従来一般的であった構造解析的な手法ではなく、関数を用いた表現とフーリエ展開によって物体の形状を記述するとともに、その記述子を用いて物体の認識を試みた。本課題では特に人体の形態解析に本方法を実際に適用し、形態解析で得られている知見との相応性を調べながら応用的な有効性を探究した。また物体の測定に関しても高速な3次元測定を行う新しい方法について開発を行った。 物体の大局的な形状の特徴を表現するものとして申請者らは縦伸縮、横伸縮、断面形状、ねじれ、ゆがみの5つを考え、それぞれの特徴の中での形状の相違性を測るものとして擬距離尺度を定義した。これらの特徴は人間の直感によってもとらえやすく、また形態的にも、この5つの擬距離だけで、物体の形状の異同の全てが判定できる点に特色がある。実際に7つの典型的な形態をもつ人体のモデルに本方法を適用したところ、形態学の分野で得られている知見を裏付ける解析結果がえられた。今後は専門家の知識を本解析法にうめこむための方法について研究を進めていく。 3次元高速物体測定システムについてはまだ試作の段階ではあるが、3次元的な絶対座標を30m秒以下で測定することが可能であることを確認している。 以上の成果は部分的にはIEEE主催のコンピュータビジョン会議で発表ずみである、計測法に関しても近々発表の予定である。なお、計測システム用にレーザ、ビデオシステム、モニタなどを備品として購入した。
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