研究概要 |
遺伝情報発現の初期反応におけるRNAおよびタンパク質のプロセシングに関して、以下の研究成果を挙げた。 1.村松はマウスリボソームRNA遺伝子の転写終結と終結後プロセシングの詳細について、in vivo,in vitro両系で解析した。転写終結部位は両系で同じ結果が得られたが、in vitro系では転写後プロセシングは見られなかった。 2.大島はHeLa細胞核抽出液を用いin vitroスプライシング系を作った。さらに同抽出液を3つの分画に分けたのち、スプライシング系の再構成に成功した。目下各因子の役割について解析している。 3.上代は酵母およびArtemia salinaからキャップ合成酵素を高度に精製し、酵母では異なる機能をもつ2種類のサブユニットからなるが、Arteriaではそれが一つのポリペプチド上にあることを明らかにした。また酵母の酵素の遺伝子構造についても解析した。 4.田中はラットピルビン酸キナーゼ【M_1】型【M_2】型アイソザイムのcDNAをクローン化し、両者の塩基配列の比較、発現過程におけるプロセシングについて解析した。 5.ヒト、ブタ、ラットペプシノーゲン、コウシプレプロキモシンのN末端シグナル配列の一次構造を再確認し、完全構造を確定した。ラットについてはプレペプシノーゲンの全一次構造を決定した。 6.大腸菌シグナルペプチダーゼの細胞質膜内における存在状態をモノクローナル抗体を用いて解析した。またシグナルペプチドペプチダーゼおよびその構造遺伝子の構造の詳細を明らかにした。 7.村地はカルパイン小サブユニットのcDNAをクローン化し、塩基配列を決定し、ペプチド解析の結果と照合して、全一次構造を明らがにした。N末にポリグリシン鎖、C末にカルモジュリン様構造をもつ2ドメイン分子であることを示した。
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