研究概要 |
1.抗ヒト血小板モノクロナル抗体(TP80,TP82)の作成。モノクロナル抗体は腹水系で得て、カラム(ゲル濾過)にて精製したが、クロマトチヤンバー中で、本研究費により購入したフラクション・コレクターおよびミニパルス・ポンプを用いて行い、十分なTP80およびTP82を得た。TP80は血小板膜蛋白(分子量約23000)を認識し、血小板活性化(凝集・放出反応)を惹起させる。TP82は血小板膜糖蛋白GP【II】b-【III】aを認識し、各種血小板凝集惹起物質による血小板凝集反応の抑制作用を示した。 2.血小板蛋白のリン酸化反応。発癌プロモーター・テレオシジンにより40K蛋白のリン酸化がすみやかに認められ、その後20K蛋白のりン酸化も認められた。テレオシジン凝集はTP82により阻害されたが、リン酸化反応には阻害作用は認められなかった。TP80により20Kおよび40K蛋白のリン酸化がすみやかに認められた。 3.Quin2法による【Ca^(2+)】動態の検討。テレオシジンによってはQuin2法によって検出される細胞内【Ca^(2+)】濃度の上昇は認められなかった。これはトロンビン等の刺激物質と異なる点である。 4.アスピリン処理血小板を用いた検討。アスピリン処理することによってテレオシジンの作用をおもにCキナーゼ活性化に限定し、一方ADPの作用をカルシウム動員系(20K蛋白リン酸化)に限定することが出来る。このアスピリン処理血小板を用いた場合、テレオシジンあるいはADP單独ではATPやセロトニンの放出反応(すなわちdense bodyの放出反応)は認められないが、両者存在下この放出反応が認められた。おそらくdense bodyよりの放出反応惹起のためには、Cキナーゼ系とカルシウム動員系の相乗作用が必要と考えられる。現在この相乗作用の詳細について検討中である。
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