研究概要 |
遺伝子操作による植物育種を実現させるためのモデルタンパク質としてイネ貯蔵タンパク質のイネ・プロラミン,イネ・グルテリン遺伝子を選んだ。 1:登熟期イネ胚乳細胞で発現するmRNAに対するcDNAライブラリーの作成とイネプロラミン、イネグルテリンcDNAの同定。 プロラミン,グルテリン遺伝子を同時に発現する"金南風"胚乳よりOligodTカラムを用いpoly A RNA画分を得た。このRNA画分を用いcDNAライブラリーを作成した。このライブラリー中よりイネ・プロラミン,イネ・グルテリン抗ウサギ抗体と反応するタンパク質を生産する大腸菌を分離した。グルテリンを生産すると思われる大腸菌の一つには挿入配列3kbpのプラスミドが存在した。このプラスミドはウサギ網状赤血球ライゼートを用いるグルテリン合成を特異的に阻害し、グルテリンcDNAの配列をもつことを示した。このcDNA配列は制限酵素Pst1で5ヶの断片に分かれることが明らかになり、各断片について塩基配列決定を行った。 2:突然変異イネ胚乳の貯蔵タンパク質分析。 金南風の受精卵に対するN-メチルニトロソウレア処理によって得られる突然変異株の中にプロラミン型(CM:1834),グルテリン型(CM:21)の変異体を見い出した。これらは貯蔵タンパク質の発現制御部位に変化があるはずてあり、その塩基配列の解明による植物タンパク質の発現制御機構理解のための貴重な材料が得られた。
|