本研曼は代謝性結合織病、とくにコラーゲン代謝異常症の病態病因を解析して、欠損因子の同定に基づく病型分類を行い、適切な診断治療への道を拓き、さらに異常組織の解析から組織形成機構を解明することを目的に発足した。このため、初年度は各班員の従来の研究実績をふまえて疾患モデル動物の病態解析を行うとともに、測定困難な修飾酵素などの簡易微量測定法の確立に努めた。 藤田班員は、骨形成不全症のモデルとしてODラットを用い、骨コラーゲン形成不全と骨梁形成不全の相関をカルシウム代謝酵素およびホルモンの動態との関連で調べた。新海班員はエーラスダンロス症候群20例につき皮膚、関節症状を提示するとともに欠損因子解析の現状にふれ、【I】型コラーゲンのプロα2鎖欠損例(本邦ではじめて)が報告された。同じ欠損因子をもつ患者第2例も見出され(永井)、ともに心血管障害を有することが指摘された。藤本班員は架橋形成不全(メンケス症候群)モデルとして、マキュラーマウス(劣性伴性遺伝)をとりあげ、架橋形成酵素、リジルオキシダーゼに必須の銅含量が肝、脳において著しく低値であること、9週令皮膚で塩可溶性コラーゲン量が正常より38%も高く、還元性架橋が低値であることを見出した。とくにリジルオキシダーゼ、コラゲナーゼ活性を体液、組織中で測定しようとするとき、前者は基質の面で、後者は阻害因子との結合により容易でない。このためともに精製酵素を用いたモノクローナル抗体の作成による免疫学的測定法の確立を目指し準備中である(早川、永井班員)、鈴木班員はマトリックス形成の分子アセンブリーを解析する系としてcmd/cmd軟骨細胞培養系をとり上げ、プロテオグリカン合成欠損が示す異常マトリックスの解析と、外部からのPG添加により補正が可能であることを示した。
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