研究概要 |
複合糖質代謝異常症はリソゾーム酵素の異常に基く疾患であり、リソゾーム酵素の多くが糖蛋白質である。 木幡はさきにβ-グルクロニダーゼ、グルコセレブロシダーゼの糖鎖構造(前者は高マンノース型、後者は複合型)を解明したが、今回カテプシンHは高マンノース型とは関係づけ難い第3の糖鎖群を見い出した。 南はSphingolipid aclivalor protein(SAP)のうちSAP-1に対する特異抗体を作製し、線維芽細胞のSAP-1の生合成とプロセッシングを検討し、異型異染性白質ジストロフィー症ではprecursorの段階で生合成が障害され、【GM_1】-Gangliosidosisでは分子量13,000から8,000〜11,000のmature formへの転換に欠陥のあることを示した。 一色はarylsulfatase A(ASA)に対するモノクローナル抗体を作製し、ヒト胎盤ASAへの抗体の結合部位と基質結合部位が異なることを示した。 山科はLowe症候群にヌクレオチドピロホスファターゼ(NPPアーゼ)活性の異常亢進を明らかにしたが、今回単クローン抗体を作製し、NPP-アーゼを精製し、その活性の異常亢進の原因が、触媒能の増大によるのではなく、酵素蛋白合成の異常な促進によることを明らかにした。 折居は【GM_1】-gangliosidosisについて尿中ガラクトース含有少糖を基質としてinvitro,invivoで酵素活性を測定し、その結果は臨床微候とよく相関し、各亜型の酵素学的診断を可能とした。また中間型の存在を明白にした。 大村はSonfilippo症候群A型とB型の酵素測定条件を検討し、前者では高温、後者では低温に設定すると活性上昇のみられることを示した。 鈴木はFabry病の9家系ヘミ接合体10例、女性ヘテロ接合体13例の胎んどの症例に血小板凝集機能の亢進のみられることを明らかにし、さらにticlopidineおよびビタミンEを投与し、その有効性を確かめた。また本症および女性ヘテロにも心血管病変を見い出し、その予防および改善が抗血小板薬により得られることを明らかにした。
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