本特定研究は、多相系生医学材料を対象にさまざまな角度から材料のもつ特性を解析し、生体との相互作用における多相性の意義を究明し、高度の複合機能を有する新しい多相系生医学材料を設計し、合成するための手法と、その解析法、評価法など、生医学材料の基礎科学を飛躍的に発展させることを目的として、57年度より59年度に至る3年間にわたって組織的な研究を展開した。その結果、特筆すべき多くの研究成果を挙げ、また関連分野の研究水準を著しく向上させ、世界的にみても指導的な地位を占めるに至った。本年度はこれらの成果のとりまとめを目的とし、関連分野の研究者を含めての討議を経て、より高いレベルに立って研究成果を総合的に見直し、その意義を明らかにするとともに、残された問題についても討議し、今後の発展的展開についても具体的な計画を協議した。 (1)3年間にわたる研究成果を先ず全研究班員の執筆によってまとめ、研究成果総括報告書(和文)を60年10月に発行した。 (2)研究成果を総合的に検討討議するために、全班員および関連分野の研究者の参加により、60年11月東京においてシンポジウムを開催し、6件の主題に分けて成果報告ならびに討議を行った。 (3)シンポジウムの討議内容も含めて、英文で成果報告書の作成を全研究班員に求め、研究成果総括報告書(英文)を61年2月に発行した。 (4)総括班会議を3回、幹事会を6回開催し、研究成果のとりまとめ方法、チェックアンドレビュー、および今後の研究の進め方などについて審議した。さらに新材料の研究において生医学材料の研究が占める位置を中心に、材料研究のあり方についても討議し、新材料の研究に関する提言、および本特定研究の後にくるべきものとして、主体特異性材料の研究に関する提言をまとめた。
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