計算機ソフトウェアの需要の質的・量的増大に対応するため、高集積・高機能・高信頼性・高品質のソフトウェア・すなわち高度計算機ソフトウェアの本質を追需し、それを飛躍的な高効率で形成することが、いま緊急の課題となっている。本特定研究はこの課題を組織的な基礎研究によって解決するため、「高度計算機ソフトウェアの形成に関する基礎的研究」を昭和62年度発足の重点領域研究として策定することを具体的な目的として、その調査研究を進めてきた。その結果、次のような研究方策が定められた。 ソフトウェア形成の既存の技術は、計算機の処理機構に密着しており、人門の思考法、意志伝達法などの特性に適合していないところに問題がある。したがって、高度なソフトウェアを高い効率で形成するためには、計算の本質をより抽象化した新たな計算モデル、すなわち計算機による問題解法の論理的体系を考え、それに基づいて人間の特性をより深く反映したソフトウェアパラダイム、すなわちソフトウェア表現法とソフトウェア構成法を追求する必要がある。 この基本的な考えをもとに、推進すべき主要研究項目として 1.ソフトウェアの高度化に関する理論的研究 2.ソフトウェアの形成方法論に関する研究 3.ソフトウェア形成方法論の適用に関する研究 を設定した。1.においてはソフトウェアの形成的仕様のあり方を定めうる計算モデルを与えるとともに、問題の解析過程における仕様の表現法と構成法を与える形成理論を確立する。2.では新しい計算モデルとソフトウェアパラダイムに基づくソフトウェア形成過程の計算機支援ないし自動化の実現をはかる。3.においては主要なソフトウェアに対してソフトウェアのあり方、本質を研究することによって、個々のソフトウェアに対する形成方法論から一般的な方法論を確立する。
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