研究概要 |
1. テトラキス(トリメチルシリル)エチレンおよびその誘導体 (【I】a)はシリル基間の立体障害のため、C=C二重結合回りに大きくねじれている。また(【I】a)は興味深いサーモクロミズムを示めすことが知れている。今回このようなテトラシリルエチレン類の一般的かつ実用的な合成法を見出した。これを基本としてテトラシリルエチレン単位を基本骨格とするポリマーの合成を検討している。一方、最もねじれた脂肪族エチレンである(【I】b)の1,2-位置異性体である(【II】)の合成に成功した。X線による構造解析の結果、そのねじれ角は49.6°で1,1-置換体とほぼ同様であることが示された。今後磁気的性質を含めてその物性を詳細に検討する予定である。 2. フォトクロミックな有機ケイ素化合物ジフェニルシロール(【III】)は可視光線によって可逆的[2+2]型2量化を行なうことおよびこれを分子内反応にデザインした(【IV】)ではその量子収率が100倍程度向上することを見出している。これをポリスチレンマトリックスとしてその光化学挙動を調べた結果、可視光に鋭敏に感光し、光情報記憶材料としての可能性が示された。
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