研究概要 |
1. 両親媒性色素と長鎖脂肪酸の混合膜 12-(1-ピレン)ドデカン酸(PDA)とステアリン酸(SA)のBa塩から成る混合LB膜を作成し、モノマー発光強度Imとエキシアー強度Ieの比Ie/Imを尺度に用いて、混合LB膜の熱安定性を検討した。PDAとSAの割合にも依存するが、50℃近辺でIe/Imの急激な低下が認められ、この変化の前後でX線解析を行い膜構造を解析したところ、面間隔の減少とX線散乱強度の低下が認められ、膜全域にわたって層状構造が破壊していることが分った。 2. 非両親媒性色素と長鎖脂肪酸の混合膜 疎水性の強い配位子を有するルテニウム錯体Ru【(dpphen)_3】【Cl_2】[トリス(4、7-ジフェニル1,10-フエナンスロリンルテニウム(【II】)クロリド]とステアリン酸のバリウム塩(SA)とからなる混合LB膜(混合比は1:5)は100〜200【Å^2】/分子の占有面積を有すること、単分子膜の吸收スペクトルから450nm付近に極大吸收と590nmに発光が認められた。レーザー光分解法により三重項-三重項消滅による速い減衰が観測された。これらの結果は、ピレンやエチルカルバゾールとSAとの混合LB膜では生じない現象である。 3. 発色団を側鎖に有する高分子と長鎖脂肪酸の混合膜 ピレンやエチルカルバゾールを側鎖に有するビニルポリマーはSAと混合膜をつくることを見出した。この方法により、ピレン基などの発色団を膜内に分散させることが可能となった。これら高分子のモノマー単位あたりの占有面積を表面圧-面積曲線より求めると、カルバゾール基の面積にくらべてかなり小さい値を示し、高分子は膜の中でランダムなコンホメーションをとっていることが分る。また、SAの比率を上げて膜化すると、モノアー単位当りの面積は増加し、ポリマー鎖は伸びていることになる。これらの高分子を含んだ膜のX線解析及び発光スペクトルの研究を行った。
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