研究課題
アクチンと細胞膜との結合部位にはアクチンフィラメント形成の核化活性をもつタンパク質が存在する可能性が大きいので、アクチノゲリンおよびビンキュリンの核化活性を調べたが、最も感度が高いパイレン化アクチンの蛍光増強法でも核化活性は検出されなかった。また、59年度に報告したようにビンキュリンはアクチノゲリンによるアクチンのゲル化活性を増強するが、この活性化は膜結合性のビンキュリン結合タンパク質タリンにより阻害される場合があることがわかった。また、ボルトン・ハンター法で【^(125)I】ラベルしたアクチノゲリンのFアクチンへの結合量は、低濃度でも高濃度でもビンキュリンでは大きな影響はなかった。さらに、平滑筋α-アクチニンによるゲル化にはビンキュリンは影響がなかった。この様な結果は、ビンキュリンがアクチノゲリンとFアクチンとの相互作用に何らかの働きをもっているが、それは単純な結合の増強などではないことを示している。 また、ラット肝よりFアクチン末端結合因子でゲルゾリン様のものを精製した。アクチノゲリンやα-アクチニンのFアクチンの結合にはサーモライシン限定水解によって得られる27Kダルトンの断片が働いていることが明らかになった。またこの断片は、V8プロテアーゼによる一次元ペプチドマップも類似し、またアクチノゲリンとα-アクチニンに交差反応性をもつ抗アクチノゲリン・モノクローン抗体の結合部位でもあることが判明した。ただ、α-アクチニンより得られたものに比し、アクチノゲリンよりの27Kダルトン断片はFアクチンへの飽和結合量が約半分であった。
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