研究概要 |
カルシウム依存性プロテアーゼ(CANP)の構造をcDNAの塩基配列から決定し、その結果をもとにCANPの活性化を伴うプロセシングのおこる位置をまず明らかにすることを目標にした。 CANPは80Kと30Kのサブユニットからなるダイマーで、meuCANPの30Kサブユニットは同一であることをまず証明した。合成ヌクレオチドプローグを使ってヒト、ウサギ30Kサブユニットのクローニングをし、アミノ酸配列を決定した。その結果、ヒト、ウサギ30Kは268個、266個のアミノ酸からなることが判明した。80Kサブユニットについては、昨年度構造を決定したニワトリCANPのcDNAをプローブに使い、ウサギとヒトのmおよびμCANPクローンを単離した。ヒトのm,μCANPについてはその全配列を決定し、各々、700個,714個のアミノ酸残基からなることを明らかにした。ニワトリCANPと同じく、この両者はいずれも4個のドメインからなり、N末端より第2、第4番目のドメインはプロテアーゼとカルモデユリン様カルシウム結合ドメインであった。 CANPはカルシウムの存在下で自己消化をおこすと、カルシウムに対する感受性が著しく増大し、mμカルシウムで活性を発現するものはμMカルシウムで活性を持つようになる。構造を決定した30Kと80Kサブユニットの構造から、自己消化の際におこる度化を解析した。80Kサブユニットの分子量は約24減少し、N末端から約20残基のペプチドが遊離する。30Kサブユユットでは、やはりN末端より約100残基のアミノ酸が切りとられる。両サブユニットのうち、カルシウムの感受性の変化に直接関係するのは80Kサブユニットの変化で、30Kサブユニットの変化は、少くともプロテアーゼ活性には全く影響がないことを、サブユニットを入れかえたハイブリッド形成曽験により明らかにした。
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