研究概要 |
研究目的 本研究の目的は、食品と副腎皮質系機能の相関を時間生物学の立場からとらえ、食品機能の変化が糖質コルチコイド分泌に与える影響とそのメカニズムを明らかにすることにある。本年度は制限給餌をおこなったラットにみられる予知性コルチコステロン分泌の1)エネルギ一代謝における意義,2)食品成分との関係,3)中枢神経メカニズム,について検討をおこなった。 研究成果 1)エネルギー代謝との関係 ラットを用い、血中コルチコステロン,インスリン,血糖レベルをRIA等で測定した。その結果、制限給餌下での体重維持には摂食後のインスリンレベルの増加と関係があることがわかった。また、副腎摘出ラットを用いた実験から、摂食前にみられる予知性コルチコステロン分泌は摂食後のインスリンレベルを上昇させていることが明らかにされた。これらホルモン分泌の変化は、摂食環境の変化にともなう生体適応機能の一表現と考えられる。 2)食品成分の影響 制限給餌下にあるラットに、栄養価のない偽餌,高蛋白質(60%),低蛋白食(1%)を与え、コルチコステロンレベルに及ぼす影響を検討した。その結果、摂食後のホルモンレベルの低下には栄養因子の関与が明らかとなり、その一部は蛋白質であることがわかった。 3)中枢神経メカニズム 薬物を用いて特定の中枢神経系を破壊したラットを作成し、制限給餌下におけるホルモン動態の変化と中枢アミンとの関係を検討した。その結果、予知性コルチコステロン分泌にはカテコールアミンが関与しており、一方インドールアミンの関与は少ないことがわかった。
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