研究概要 |
【^1H】(【^(15)N】,αγ)【^(12)C】の共鳴原子核反応(Eres.=6.38MeV)を用いて、結晶表面上に吸着している水素を定量分析し、同時に従来のLEED,Auger電子分光等の表面分析法を併せて測定する方法を確立し、種々の結晶等の表面構造に関与する水素の挙動を調べることを目的として、以下のように研究が行われた。 1.差動排気系、ビームコリメーター、ディフレクター、アルゴンイオン銃、水素ガス導入系等を付加された表面解析用超高真空槽を、東大原子力研究総合センターのタンデム加速器のビームライン上に設置し、直径2mm以下に絞られた【^(15)N】ビームを試料に照射して前記の核反応により放出される4.38MeVのγ線を低バックグラウンドで計数できるようにした。試料付近の真空は〜1×【10^(-10)】Torrである。γ線の検出感度を向上させるために各種の検出器が試されたが、BGO検出器が優れていることが確かめられた。 2.タンデム加速器の発生電圧を微妙に安定化するようにフィードバック装置を改良し、ビームのトランスミッションが向上したので、質の良い【^(15)N^2+】イオンを効率良く試料に照射することが可能になった。3.開発されたこの測定系は感度がよく、タングステン単結晶の(100)面に吸着する0.05原子層以下の水素原子を定量分析することが可能になった。これにより各試料温度における水素の付着確率等が測定された。 4.上記測定槽に組み込まれたLEED,Auger分光装置により結晶表面状態と吸着水素量との関連も測定可能になっている。
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