本研究は新しい神経活性ペプチド様物質を蛙皮膚より検索し、構造解析を行い、その情報を提供することにより脳神経機能解明のための一助となることを目的とする。材料はフィリピン産蛙Rana erythraeaの皮膚のメタノール抽出液を用いた。分離画分につき、血圧活性、平滑筋収縮活性、肥満細胞脱顆粒活性あるいは溶血活性等の検定を行い皮膚中に存在すると予想される活性物質の溶出を知り、一方各分画を6N HCl、110℃、20時間処理し加水分解を行い、これをアミノ酸分析することによりペプチドの検定を行い、双方の結果を総合して新活性ペプチドの単離を行った。蛙の皮膚10g(乾燥重量)のメタノール抽出液を濃縮乾固しBuOH:AcOH:【H_2】O(5:1:4)の上層に溶解し、同層を固定相、下層を移動層とする遠心液液向流分配クロマトグラフィーを行った。胆嚢収縮活性物質は1.5void volumeの位置に溶出され常法により逆相高速液体クロマトグラフィーで精製し単一物質とした。アミノ酸分析の結果この物質はオクタペプチドで構造解析を行ったところ【Leu^3】-CCK-8であった。含量は皮膚10gあたり約0.5μmoleであった。 一方この蛙皮膚は疎水性のペプチドを含有しており、メタノール抽出物を直接TSK Pheny15PWのカラムで分離しさらにLS-80Tのカラムで再クロマトを行うと7種類の疎水性ペプチドが単離された。これらのペプチドは2種の構造が解析されそれぞれ、 Phe-Leu-Pro-Ile-Leu-Gly-Lys-Ile-Ala-Gly-Phe-Leu-Gly-Asn-Leu-Phe-N【H_2】 および Phe-Leu-Pro-Leu-Leu-Phe-Gly-Ala-Leu-Ser-Ala-Ile-Leu-Pro-Lys-Ile-Phe-N【H_2】 と決定された。これらのペプチドは1nmole/mlの濃度でヒトマクロファージのケモタキシスを起させた。
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