研究概要 |
1.アポA-【I】・C-【III】遺伝子の多型性 アポA-【I】はHDLの主要構成アポ蛋白であり、その構造異常による先天性リポ蛋白異常症が知られている。またアポC-【III】はVLDLに多く存在しており、血清トリグリセリド濃度と相関している。この2つのアポ蛋白遺伝子はcomplexを形成しておりこれらの遺伝子およびその近傍のDNA変異とリポ蛋白代謝異常症との関連が注目される。今回アポA-【I】遺伝子のRFLP(Restriction Fragment Length Polymorphism)と血清脂質およびアポ蛋白レベルとの関係を検討した。 方法は患者末梢白血球より抽出したDNA12〜15μgを制限酵素Sst【I】,Pst【I】で切断後、1%アガロースゲル電気泳動し、サザンブロットハイブリダイゼーションにより、RFLPを解析した。プローブはアポA-【I】cDNAを〔α-32p〕-dCTPを用いてニックトランスレーション法にてラベルしたものを用いた。この結果Sst【I】による多型性が証明された。日本人では【S_2】サイトを有する例が高率であり、約半数が【S_1】【S_2】タイプであった。高トリグリセライド血症で【S_2】サイトを有する例が多いが正常者にも認められた。Pst【I】によるRFLPでは【P_1】【P_1】ホモタイプが82%と高率であり、日本人では【P_2】サイトを有する例が少なかった。 2.アポBcDNAのクローニング アポBは高コレステロール血症で増加しており、動脈硬化症と関連を有するアポ蛋白として重要であるが、その構造は不明である。我々は合成オリゴヌクレオチドプローブを合成し、ヒトおよびラット肝臓からアポBcDNAのクローニングを試みた。まずノーザンブロット法によりヒトとラットともに肝では19Kbの位置にアポBmRNAのバンドを認めた。cDNAライブラリーからアポBcDNAのフラグメントを得た。ラットとヒトの塩基配列を対比させたところ、その相同率は84.2%と高率であった。
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